新発見 東かがわ市・さぬき市の歴史17 ~令城ノ内遺跡(東かがわ市水主)出土の土師器皿と虎丸城跡~
昭和58年に東かがわ市水主地区では区画整理事業が実施されました。この時に各所から多数の遺物が採集されましたが、水主地区東部の城ノ内池の北側では土師器の皿や鍋、すり鉢の破片が発見されました。今回はその中で土師器の皿に注目したいと思います。
土師器皿は色や作りによって複数の種類に分けられますが、その中で色の濃い褐色の皿は器に厚みがあって、完形に近いものが複数発見されました。ボテッとした形は特徴的で印象に残るものですが、この土師器皿とよく似た土器がさぬき市雨滝城跡や本村遺跡の出土遺物にみられることが明らかとなりました。
雨滝城跡は戦国時代の安富氏の城跡です。発掘調査では多数の遺物が出土しており、多くが16世紀後半頃のものであることが明らかになっています。本村遺跡は南に石田城跡が隣接し、遺跡からは17世紀前後頃の大規模な建物跡が確認されています。共通するキーワードは「城」です。
そこで、城ノ内遺跡に立ち戻ると、遺跡名が示す通り、城の内側、つまり、城との関係が連想できます。この城ノ内遺跡から南は丘陵で、その頂上付近にあるのが虎丸城跡になります。虎丸城跡も戦国時代の城で城主は寒川氏、安富氏、十河氏に変遷したと考えられています。城ノ内遺跡は虎丸城跡の虎丸山を下りた地点にあり、いわば城の出入り口になります。この場所には城と関わる施設が築かれていた可能性があり、土師器皿はここに住んでいた戦国時代の人々によって使用されたと想像されます。そして、この土師器皿に似た土師器皿が雨滝城跡や本村遺跡から出土しているということは、戦国時代の各城の結びつきを示しているのかもしれません。ちなみにさぬき市には戦国時代の城跡で発掘調査を実施している城跡として他にさぬき市前山に所在する昼寝城跡があります。昼寝城跡からも多数の土師器皿が出土していますが、城ノ内遺跡の土師器皿とは大きく異なるものであることを付記しておきます。
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